先日、旅行産業経営塾第14期の講師を務めた。私は、旅行産業経営塾を二度卒塾している。対面開催で二度卒塾しているのは、私だけである。この旅行産業経営塾には公私ともに大変お世話になっており、業界のつながりや人との縁の大切さを、身に染みて感じてきた。
一度目は、社長になる前の2010年。第6期生として入塾し、東日本大震災の直後に卒塾した。そして二度目は、社長就任10年目を迎えた2024年。改めて学ぶため、再び入塾する決断をした。
これには、私にとって忘れられないエピソードがある。それは、初代塾長の山田学氏から、社長就任時にいただいた一通の手紙だ。
そこには、
「社長になっても、常に学び続けなさい」
と書かれていた。私はその教えを胸に、これまで行動してきたつもりだ。二度目の入塾についても、原塾長からご理解とご承認をいただいた。
ご存じない方のために、ここで少し旅行産業経営塾(以下、経営塾)について触れておきたい。
経営塾は5月に入塾式を行い、6月には1泊2日の合宿がある。その後、翌年3月の卒塾式まで、毎月1回から2回の講義が行われる。講師には旅行業界に限らず、国土交通省、自治体、テーマパーク経営者など、各分野の第一線で活躍されているキーパーソンを招いている。後半はグループワークを行い、プレゼンテーションと講評という流れで進む。これまで第1期から第13期まではすべて東京開催であったが、第14期は初めて大阪での開催となった。経営塾としても初の試みであり、OBとして何か協力できればと思っていたところ、今回、講師としての依頼を受け、快く引き受けた。
講義テーマは、クルーズビジネスと新規事業として取り組んでいる保育事業である。新規事業の考え方として、コロナ禍で始めた新たなビジネスについて、丁寧に解説した。コロナ禍でクルーズビジネスが立ち行かなくなる中、新規事業を模索する過程で、なぜ未経験の保育事業に至ったのか。その経緯と意思決定の考え方を、できるだけ論理的に伝えた。
もちろん、すべてが順調に進んだわけではない。事業再構築補助金の採択後も、本当にこの事業を第二の柱としてやっていけるのか。自社ビルの大部分を保育室へ全面改装すれば、後戻りはできない。本当にその覚悟があるのか。悩み、悩み、悩み抜きながら葛藤していた当時の思いを、飾らずにできる限り自分の言葉で伝えたつもりである。
講義後は、各班のグループワークを聞き、最後にそれぞれへの講評を行った。プレゼンテーションにおける心構えや、発表の良い点・改善点などについてフィードバックは行ったが、正直なところ自信があったわけではない。それでも、すべてのグループに対して、一つひとつ丁寧に向き合おうと心がけ、その思いを言葉に乗せたつもりである。
経営塾は今回の第14期をもって一旦区切りを迎える。次回はどこかのタイミングで再開される予定だが、同期をはじめとするOB会のネットワークは継続しており、近い将来、必ずパワーアップして再開すると信じている。
次回の第15期では、これまで以上にOB代表として深く関われるようにしたい。経営者とは、自分の考えを言語化し、思いを伝えることがいかに難しく、そして重要であるか。今回の経験を通じて、改めて学ぶことができた。
最後に、このような貴重な講師の機会をいただき、原塾長をはじめ、橋本塾頭、そして運営に携わるOBメンバーの皆さまに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
著者:松浦 賢太郎(クルーズのゆたか倶楽部株式会社)
掲載日:2026年01月23日