毎年クリスマス前に、とある大学で講義をしている。「キャリア形成」という授業科目で、ゲスト講師として呼ばれ、社会人の経験を伝えている。今回で3回目になるが、毎年、資料を作りこみ、大きな熱量で圧倒的な内容を目指して望んでいる。生徒は、国際学部に在籍し、旅行業・観光業を目指す学生も多いので力が入る。
私の授業は少々、型破りである。路頭に迷った極貧の幼少期から、昭和・バブルの話、当時「レジャーランド」と揶揄された大学へは代返ばかりでろくに行かず、バイトとバックパッカー旅行に明け暮れた日々を語り、サラリーマンの全てを包み隠さずシェアし、ついには、就職だけではなく、会社の作り方を教え起業を勧めるようなところもあるので、大学で話していい内容なのか迷うこともある。
授業には50名前後が出席してくれるが、午睡を欲する絶妙な時間帯に設定されている為、舟を漕ぐ者も多い。ただ、受講後のレポート提出が義務付けられているため、熱心に聞いてくれる学生もままいる。社会人相手に行うセミナーなどは、拍手喝采や大爆笑もあり大いに張り切れるのだが、学生はあくまで静かである。真面目でおとなしく、バイトに忙しい、というのが今の大学生の一般的な評であるのだが、これまでに様々な世界を旅し、いかなる経験をしてきたかを、弾丸トークで一気に話し続ける。でも教室内は静かなまま・・・・まぁ、毎年、同じ空気なので慣れてもいる。こんな仕打ちなのに、なぜ毎年続けているのかというと、講義終了後に、私の授業への感想レポートを頂戴できるからである。
「パスポート保有率17%なんて信じられない」
「学生のうちに、長い旅行に出るべきだとわかった」
「辛い経験をしてきたのに、今は毎日が楽しそう」
「好きなことを仕事にする大切さを学んだ」
「就職は、就社だけではないのだと知って考えさせられた」
「1円で会社を作れるなんて驚き」
「サラリーマンを長く続けてからの起業も有意義だとわかった」
など、などなど
忖度も多々あろうが、絶賛的なコメントが沢山届いてしまうので、これを読みたくて、また次も引き受けてしまう、きっと。
著者:松宮 英範(株式会社MATCH)
掲載日:2026年01月23日