Voice 大学就職内定率
 この原稿の締め切りが近づいてきた5月24日のニュースで見た数字「98.1%」
文部科学省などの調査によると、4月1日時点の大学卒業者の就職内定率。
前年比0.8ポイント上昇し、調査が始まった1996年度以降、過去最高の売手市場のこと。
さらに短期大学や高等専門学校を加えた内定率も98.1%で前年比0.6ポイント上昇し、
過去2番目に高い水準であるそうだ。
完全に『売り手市場』、コロナ時の『買い手市場』のしっぺ返しか?

 弊社の事業の一つとして、『就職サポート』がある。従来のサポートの意味は学生の就活を
サポートすることであったが、コロナ後は企業の採用をサポートすることに変わってしまった。
「旅行・観光業界 就職セミナー」を3月にリアル開催している。コロナ前までは毎年行っていたが、
コロナになり企業の採用が軒並みストップしたことと感染対策のため3年間中止にしていた。
昨年より復活させて開催したが、コロナ前は650名であった参加学生は220名に減ってしまい、
今年の開催では、なんと160名の参加しかなかった。一方、企業の参加は2年連続満杯であった。
世間で叫ばれている人手不足、特に観光業界においてはより深刻な状況であることを目の当たりした。

 旅行業界はコロナの影響をまともに受け、大幅な人員削減、給与のカットを実施するなど行なった。
コロナが終息すると今度は人手不足の状態。他業界と比べても初任給は高くない。
また数々のコンプライアンス違反等がメディアに取り上げられ、学生からみたこの業界はどう写っていることか。

 われわれの時代のような終身雇用は既に終焉し、企業や組織への帰属意識の欠如。 
5年以内にセカンド新卒として次の就職先を探す時代。それをサポートする人材紹介会社がテレビCMで
バンバン放映される時代。退職代行業者が大忙しとのニュース。

 しかしながら、潜在的には観光業界で働きたい人は今も昔も変わらず多く存在していると思う。
GPTで旅行企画が色んなデータのもとに寸時できあがるというが、そこに出かけるのは人であるということだけは変わらない。

著者:仲 章弘(株式会社ジャタ)

掲載日:2024年05月29日