Voice おひとりさま
 私はプライベートの外出時には、そのほとんどを妻と共にしている。正確には、妻は一人でも勝手に出かけるが、私が一人はイヤなのだ。
 外食、趣味のジョギング、ちょっとした買い物はもちろん、自宅前での洗車、庭の手入れですらも、正直ひとりだと億劫だ。。。。仲よいのは無論だが、子供3人が自立してからはやはり寂しいのが本音で「一人でやって!」と一喝されることも多々あるが、極力一人にならないよう、何とか上手いこと誘ってみる。

 世はコロナ禍で、おひとりさまニーズが一層高まりをみせてるそうだが、最近ではネガティブなイメージで捉えられがちな「おひとりさま」とは呼ばないそうだ。
 ソロキャンプを筆頭に、ソロカラオケ・ソロ焼肉・ソロ旅などを総じて「ソロ活」(単独+活動)という造語もうまれ、一人時間を楽しむソロ活は、今後もZ世代が牽引し拡大していくことだろう。
 しかし私は違う。出張先のホテルで朝食がセットされていても利用した記憶がない。やはりひとりだと諸々億劫なのだ。

 コロナ禍前にはよく妻や娘とツアーに参加したが、毎回ソロ参加の方と出会う機会があった。どの方もポジティブで気持ちよい方ばかりだったと記憶している。積極的に他の参加者に話しかけ、食事の度に違う顔ぶれの席を選び相席し、旅と出会いを一番楽しんでいるようだった。ある時にはソロ参加同士の4人が、一番賑やかな4人組になり、皆がとても楽しい旅行になったことを今でも覚えている。
 ソロ参加は女性の方が多い印象がある、気づけば妻がソロ参加の女性と意気投合し、私などそっちのけだった事もあり、、、ソロ参加の方の行動力と協調性に驚かされる。
 私には絶対に真似できないが、特に海外ツアーでは長く行程を共にするので、そうした出会いも実は楽しみの一つと感じていた。

 ところが最近久々に参加したコロナ禍のツアーでは少々驚いた。
 食事はグループ単位で黙食ということで、テーブルは完璧にグループ単位に分けられていた。黙食とはいえグループ毎には楽し気に食事しているが、ふと見るとソロ参加の方はそれぞれ決められた一人席にポツン、ポツンと間隔を空けてひとりで座りそれぞれ黙々と食事しており。。。私には絶対に耐えられないシチュエーションだった。

 何よりコロナ罹患リスクへの配慮であり、そもそも参加は自由な訳だし、自分だけポツンが嫌なら、今はおひとりさま限定ツアーを選ぶことができるが、先のポジティブなソロの方だったら、かなり酷かも、、、と、ふと思い出した。
 もちろんソロ参加する方の期待も要望もそれぞれだが、望む参加者同士が自由に交流できるツアーが早く戻ってきて欲しいと改めて感じるとともに、円安・インフレ・サーチャージといった向かい風が少しでも収まり、海外旅行2000万人に戻る日が実に待ち遠しい。

著者:吉岡 謙(AIG損害保険株式会社)

掲載日:2022年11月16日