Voice ちょっと財務的、ストック(B/S)とフロー(P/L)
2020年初頭よりコロナウィルスの感染拡大し、旅行観光需要が消失した中、創業以来、添乗員をはじめとした旅行観光分野の人材サービスに専門特化して展開してきた当社は、ご多聞に漏れず売上はほとんどなくなりました。そのコロナ禍の中で、ストックとフローについて、当たり前の事をあらためて再認識させられました。
2020年前半は感染症なので半年くらい耐え忍べば何とかなるだろうと思い、雇用調整助成金を頼った計画休業を全面実施しました。休業状態で毎月赤字が続く中で頼りになるのは手元資金だけあり、それまでの内部留保プラス国の支援融資でどこまで持たせられるのかとストックばかりを考えていました。
ところが半年過ぎても感染状況は収束するどころか更に長期化する様相を呈し、短期戦から長期戦への転換を余儀なくされました。持久戦になった時、ストックで延命、時間稼ぎはできますが、フローが赤字の限りいずれ底を尽きます。やはりフローを何とかしない限り持久戦は耐えられず、とにかくその環境、自社の経営資源の中でできる事をやるしかないと、添乗、インバウンド以外の仕事に注力し、なんとか今に至っています。
コロナ前までは、フローばかりに目が行き、ストックは後から付いてくるものという程度の認識でしたが、環境の激変に対する抵抗力は、まずはストック(=積上げるのには長期間を要する内部留保)、そのストックを構築する源泉が毎月、毎年のフローだと、両方の重要性及び財務循環の基本をあらためて実感した2年半でした。
まだまだ、先行きが見通し難い環境ですが、ストックとフローの両面での回復、再構築を可能な限り目指し、乗り切ってゆきたいと思っています。

著者:三橋 弘(株式会社TEI)

掲載日:2022年08月31日