Voice コロナ禍で得られたモノ
ザ・プリンス パークタワー東京、東京プリンスホテル総支配人の田口真也と申します。
現在のホテルを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルスの影響で今まで経験したことのない厳しい状況が続いています。長引く新型コロナウイルスの感染対策も3年目を迎える事になりましたが、社内のホテル運営に目を向けると「コロナ禍で得られたモノ」として主に2つ挙げられると考えています。

(1)ホテル間・部門間でのコミュニケーション推進とマルチプレイヤー化の定着
コロナ前のホテルの営業状況は、国内需要と共に2020東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えたインバウンド需要増の対応に追われ、従業員同士のコミュニケーションもやや希薄な状況でした。
コロナ禍においては、度重なる緊急事態宣言発出に伴う予約減少により営業体制を縮小せざるを得ず、我々は雇用調整助成金制度を活用するために休業取得を推進することになり、各職場では従業員が交代で出勤するようになりました。
休業取得を推進した結果、従業員同士が顔を合わせる機会は減りましたが、コロナ前の課題を踏まえてコミュニケーションの大切さを強く意識したことにより、部門間や先輩後輩の垣根を超えた知恵と工夫が生まれ、また、今まで以上にホテル間の協力・ヘルプ体制が構築されたことにより、マルチプレイヤー化の定着につなげることができたと感じています。

(2)コロナ禍においてオリンピック・パラリンピックファミリーを受入れた運営実績
厳しいホテル運営の中でも、職場環境を改善できたことや、政府の要請により受入れたオリンピック・パラリンピックファミリーに対して、感染予防対策を徹底して運営できたことが評価されたメリットは図り知れません。この経験値こそが今後のプリンスホテルのブランドイメージを高める事につながると考えています。
また、お客様の受入にあたり「プリンス セーフティー コミットメント」を策定し、全従業員の  衛生体制の強化や客室での清掃・消毒済のSafetyシールの導入、レストラン・宴会場においても飛沫防止対策の徹底を実施し、安全・安心なホテル運営を行なってきました。
そして、営業面においてもインバウンド需要の蒸発に伴う国内需要を取り込むため、個人・ファミリー向けの商品造成を積極的に実施してきました。宿泊者向けには「巣ごもり需要」を取り込むため、インルームダイニングの商品アイテムの強化やジグゾーパズル付の宿泊プラン等の商品造成を行ない、宴会場ご利用向けには一般宴会・結婚披露宴にてオンライン配信でのリモートバンケットプランなど、行動変容に対応した需要を取り込むための商品造成を行なってきました。

オミクロン株も間もなくピークアウトが予想され、外国人の入国審査緩和の報道も聞こえ、インバウンドの期待も高まるばかりです。コロナ禍で得られたモノを糧として従業員一丸となり反転攻勢をかけていきたいと考えています。

著者:田口 真也(株式会社プリンスホテル)

掲載日:2022年03月02日