Voice 「あそび」の大切さ
今年の4月1日付でトラベル懇話会に入会いたしました。皆様どうぞよろしくお願いいたします。

さて、新型コロナで一変した生活様式。私自身も、毎日のように気の合う仲間や業界団体の方々とのお酒を楽しんでいた昭和のサラリーマン的な生活が一変、外部活動が制限され、通勤時間もなくなり、自宅にいる時間のなんと長いことか。当然のことながら、仕事の時間も疎かにしていた家事の時間も格段に増えた。自宅中心がために家の中の無駄なものが目につき、断捨離も本格的にやってみた。次々に発売される各種ノンアルを購入し、体内アルコールの浄化にも成功。運動不足解消には減量アプリをインストールし、まさに健康的な生活となった。

最初のうちはそれが楽しかった。しかし、段々と刺激がなくなり、無駄のない、「あそび」のない毎日に窮屈さを覚え始めた。仕事も生活も効率性だけを追求しているような、ゴールもなくただタスクをこなしているような、そんな感覚だ。あらためて一見無駄とも思える「あそび」の大切さを感じることとなった。

車もハンドルの「あそび」があるからこそ、運転技術が未熟であっても安全で快適なドライブを楽しめるように、好奇心を掻き立てる「あそび」の時間は、人生にとっての「まなび」であり、自立を助長するものだと思う。数ある「あそび」の中でも、旅行は「まなび」の宝庫だ。普段の生活とは異なる環境に身を置き、その地域の人や空気に触れることによって、新しい視点や価値観に気づくことができる。これまでの自分を振り返り、自分が何をしたいのか、何を成すべきなのか、これからの自分への活力となるきっかけを与えてくれる。

2014年以来、仲良し女子4人、「まむしぐみ」と名付け、毎年幹事持ち回りで旅行をしている(初回旅行で出会ったマムシグサの強烈な赤い実が名前の由来)。緊急事態宣言、まん延防止、地域の自粛ルールなど、決められたルールを守りながら、昨年はGoToキャンペーンを駆使して富山へ、今年はワーケーション体験を企画している。各自スケジュールを組み、仕事をする人、休暇を取り観光する人、土日は4人でキャンプなど、それぞれのワーケーション体験をする予定だ。コロナ禍ならではの旅の形である。

コロナによって弊社も厳しい事業環境となっている。しかし、こういう時だからこそ、生活者に寄り添い、この変化に追随し、サービス価値を上げていきたい。旅行業界の回復を信じ、大きくジャンプするための準備を今からしっかり進めたい。コロナ禍でもできる自分自身の「あそび」も活発に、トラベル懇話会の各種イベントにも積極的に参加したい。

著者:酒井和子(株式会社インテージテクノスフィア)

掲載日:2021年10月29日