もう一年半以上も続くコロナ感染で、旅行業界はどこも大変な状況ですが、特にクルーズ旅行を専門にしている弊社は雇用調整助成金や各種の融資金を頼りにほとんど休業状態で耐え忍んでいる毎日です。 2020年2月3日に横浜港に帰港したダイヤモンド・プリンセスの乗客から複数のコロナ感染者が確認された時から「クルーズは危ない」というイメージが広がりました。厚労省・国交省や横浜港、横浜検疫所、プリンセス・クルーズ社にとってこのような新型コロナ対応は未経験の出来事でその右往左往ぶりは毎日メディアに報道され国民の関心を集めました。 その後、新型コロナ感染は世界中で広がり今日に至っています。 「3蜜」を避けるという観点から一隻の船内に大勢のお客様が同乗する「クルーズは大丈夫か」という不安も広がってしまいました。 昨年4月以降日本船を含め世界中の客船会社が運航を停止し、我々クルーズ業界は大打撃を受けています。
邦船各社は昨年11月に運航再開を発表しましたが、第2回の緊急事態宣言が出され、運航休止。今年4月に運航再開が発表され、予約が入ると又緊急事態宣言が延長され再び運休となり私たちも一喜一憂する毎日です。 今回の緊急事態宣言が9月30日で解除されることを見込んで、邦船は10月からのクルーズ商品を発表しています。 しかし、日程的には従来のような長い日程は組めず2泊、3泊の短いクルーズ商品ばかり。 地方港では地元の医療体制が十分でない、クルーズ船に対する住民の警戒心が強い等の理由で客船の受け入れを躊躇している港もあり魅力的なクルーズ商品が組めないとの事です。邦船各社は国と協力して万全のコロナ対策を発表していますがダイヤモンド・プリンセスの影響がまだ残っているのでしょうか集客には苦労しているようです。
一方海外の主要客船会社は昨年夏イタリアのコスタ・クルーズとMSCクルーズがイタリア人対象に地中海クルーズの運航を再開しましたが、ヨーロッパ内でのコロナ感染が急激に広がり、すぐに運航停止。 今年5月には英国が多くの客船の寄港を引き受けてクルーズ運航を再開したのをきっかけに、欧米では7月から8月にかけて主要客船会社が地中海クルーズ、アラスカクルーズ、カリブ海クルーズ等の運航を再開しています。 運航再開に当たって船内での「3蜜」を避けるコロナ対策を徹底し、乗客定員も60%~70%に制限。 乗客、乗務員ともワクチン接種済みの証明書を義務付けています。 その上に乗船前にPCR検査を行っている船社もあります。船内のパブリックエリアではマスク着用を義務づけている客船がほとんどです。 現状では私たちは海外旅行に制限がありこれらのクルーズに参加することができませんが海外のお客様の予約は順調と聞いています。 海外船社は2022年、2023年のクルーズスケジュールもすでに発表し予約も開始しています。 海外の客船会社は2023年には市場は戻ると言っています。 邦船各社の運航には港湾関係、検疫関係の協力も重要です。 積極的なクルーズ運航再開を期待しているところです。
著者:木島榮子(株式会社クルーズ バケーション)
掲載日:2021年09月21日