Voice 現場の力
まずはじめに、弊社前社長 坂巻伸昭に対して、生前皆さまから頂戴したご厚情・ご厚誼に深く感謝し、御礼申し上げます。後任として社長に就任いたしました。引き続きトラベル懇話会の活動に注力していきますので、よろしくお願いいたします。

さて、唐突に「現場の力」を表題とし、何のことかと思われたでしょう。オリンピック開催中のあらゆる無理難題に対応した現場スタッフの底力のことです。東京2020+1オリンピックが17日間の日程を終え、8/8に閉会しました。無観客開催とはなったものの、組織委員会から委託された業務を遂行することが弊社スタッフの重要な任務でした。開催の可否からはじまり、大部分の競技が無観客となり、酷暑から開始時間の突然の変更あり・・・・
決定から8年間の時が流れ、でも準備は最後の数週間で行うという、超急ごしらえ?でスタートしたオリンピック。昨日の常識は明日の非常識などとよく言われますが、まさに昨日使ったマニュアルが明日は全く使えない状態で、あとは現場で何とかして!という、旅行業界ではかつて当たり前であった全て現場が頼みという光景を目の当たりにしました。

大会に参加する各国からのアスリートをはじめ監督、コーチ、スタッフ等をバブル方式で宿泊施設~練習会場~試合会場間に動きを限定して厳格管理します。選手村に入村するまでは、とかくストレスばかりがたまり、そのはけ口は現場のスタッフに向けられます。「こんな食事は食べられない!」「調味料を買ってきて!」「フルーツが足りない!」「練習会場まで輸送に時間がかかりすぎる!改善しなければ毎日組織委員会にクレームを出し続ける!」等、毎日スタッフは精神的にも肉体的にもヘロヘロになりながらも、自分たちのせいではない理不尽な要求にも、何とか応えてきました。いわゆるボロ雑巾状態でも、怒らず騒がず笑顔を絶やさず、献身的なマザーテレサ様の対応をしていました。後光が差してみえました。その結果は、皆さんがテレビ越しに見た映像です。メダルを手にしたアスリートも逃した方も、大勢の方が日本のホスピタリティーに感謝(ARIGATO)して、帰国の途についたわけです。17日間の長丁場をよく乗り切ったと思っています。これほどの巨大イベントを、しかも感染拡大の中、そつなく運営できたのは、まさに日本の「現場の力」です。まだ我々は本業の需要が戻りませんが、リバウンドした際にも、「現場の力~ホスピタリティー」は大きな売りとなります。

最後になりますが、日本アスリートによるメダル58個獲得という大活躍が、五輪開催に否定的であった民意を肯定的に変化させました。もともと日本人は流されやすい民族のようですが、変わり身の早さには驚かされました。スポーツの力をあらためて引き出してくれたアスリートや関係者に感謝するとともに、現場力を再認識した私です。

(文責)東武トップツアーズ株式会社
    代表取締役社長執行役員 百木田 康二

著者:百木田康二(東武トップツアーズ株式会社)

掲載日:2021年08月10日