トラベル懇話会の活動を通じて、たくさんの業界の皆さんの知己を得るとともに、公私にわたってたいへんお世話になった。このことは私の人生にとってかけがえのない宝物となっている。また定例会を通じて異業種交流と勉強会の機会を頂き、会社経営にもとても役にたった。
個人的に最も感慨深いのは、共通の趣味仲間で「歩こう会」を作ったことである。行事研修委員会の国内研修として企画した、富士登山を契機として発足した山歩きの会であり、まだ富士山が世界遺産に登録される前であった。今までに富士山、屋久島、白山、立山、槍ヶ岳、八甲田山&岩手山などに登った。そして極めつけはネパールトレッキングであったが、現在はコロナ禍によって活動を休止している。それぞれの山行が思い出深いものだったが、ヒマラヤ山脈のエベレスト、マナスル、アンナプルナなどの名峰を眺めながらワインを飲んだ記憶は、人生の宝にもなっている。もうひとつは先輩会員が作った「とらコン会」への参加であり、同会はいまだに毎年4~5回のゴルフコンペを開催、親睦を深めると共に、ゴルフ談議にふけっているとても楽しい会である。
また夏季特別セミナーも思い出深いイベントであった。毎年、このセミナーに参加するたび、私はアフリカン・ツーリスムの話をさせていただき、アフリカ馬鹿を自負していた。21世紀はアフリカの時代だ!と言い続けて30年、未だにアフリカへの日本人旅行者は微々たるものであるが、それでも当時と比較すると大きな伸びを見せており、あながち私のハッタリにも似た言葉は嘘ではなかったと思う。今でもアフリカは大好きなデスティネーションであり、アフリカロスに陥っている。
最後に個人的な報告となりますが、1970年に新卒で旅行業界へ入り、半世紀が過ぎ去りました。そんな中、私自身40年余を共にしたUTIジャパンの代表を昨年3月で辞任、今年3月末で相談役も辞任して、業界への直接関与からは卒業しました。今後はエジプトを扱うツアーオペの顧問として、そしてトラベル懇話会ではシニア会員として、業界に関わってゆきたいと考えています。
トラベル懇話会の思い出はあまりにも多すぎて、本紙面で語りつくすことは到底できません。この機会を借り会員の皆様には、これまでに頂きましたご指導とご愛顧に対して深く御礼申し上げます。また現在は、会員の多くが新型コロナ感染拡大により極めて厳しい対応を迫られておられ、心が痛みます。そんな中、懇話会の楽しい思い出ばかりを綴ってきましたが、この未曽有の事態が早期に収まり、世界各地への旅行が復活することを心より願っています。
著者:井上照夫(株式会社UTIジャパン)
掲載日:2021年03月25日