Voice 今、思うこと
「今、思うこと」

オフィス内にいるスタッフを見渡してふと思う。ここのところマスクをつけていて皆の顔が見えない。目から下の造形を忘れてしまいそうだ。
コロナウィルス「Covid-19」というものが蔓延りだして1年経つ。インバウンドも国内旅行も史上最好調で、ホテルとして長年の顧客に高騰する室料の話をするのを、ためらった日のことも同様に記憶から遠のいている。
コロナとは “太陽大気の最外層で、皆既日食の時、太陽のまわりに真珠色の淡い冠状の光として見えるもの” だとか。決して悪い意味ではなくコロナビール、株式会社コロナのガス製品とか、様々な製品の名前になっている。“コロナ”という単語も迷惑しているだろうな。

さて、自分の思いは別にして、今の状況を凌ぐにはどうしたらいいのか試行錯誤の日々が続いている。「ミニマムツーリズム」や「リモート」という言葉が飛び交い、On SiteではなくOnlineの会議、ZOOM, Google Meetなどのシステムは、ほぼ誰もが知っているワードになった。ホテルも様々なプログラムやキャンペーンを考え健闘している。GOTOという国をあげてのキャンペーンも始まり旅行業界には光が当たったが、それも束の間。感染者は増えるばかりでキャンペーンは中断。GOTOには振り回された感が拭えない。GOTOがなくても生き残ることを考えないといけない。

この状況は続くのだろうか?元に戻るのだろうか?
多分、史上最悪なこのウイルスが落ち着くころには何もかもが変化しているだろう。旅行という分野に絞って言えば、出張をしなくても、学校に行かなくても、留学しなくてもリモートという手段で済んでしまうことが、なんと多いことか!リモートは費用がかからない。期せずして分かってしまったこの事実に、企業はシフトし始めるだろう。
しかし「大丈夫なのか?」と聞かれれば、旅行業界は廃れないと私は答える。何故ならば人間には絶えない好奇心があり、外へ外へと向かうからだ。ウイルスの抑え込みに成功して平和な世界に戻れば必ず、人間は動き出す。出張や研修は減るかもしれない。しかし、MICE, SIT (Special Interest Tour),Leisureは決してなくならない。今を嘆いて昔を懐かしんでもしょうがない。オリンピックが無事に開催されるかどうかは、大きなカギで予測もつかないが、今は将来の変化を予測して、それに備えて夜明けを待つ気持ちである。

著者:池田正人(株式会社オークラニッコーホテルマネジメント)

掲載日:2021年02月01日