Voice 今どきの10歳児
  今どきの10歳児

今年10歳になった息子が幼稚園に入園した年から、色々と経験させてあげたいという思いと、ただ単に自分が行きたいという思いから、頻繁に海外旅行に行っています。グアムに始まり、韓国、台湾、香港、シンガポール、ハワイ、アメリカ本土、イギリス、フランスと、徐々に距離を伸ばして行きました。

今年の年初には、夏休みはシアトルに行ってエクスペディア・グループの新しい本社に立ち寄ってみようか、西海岸ついでにラスベガスにも行ってショーを見てみようか、と楽しく話していたのですが、当然その話は絵空事に。それどころか、国内旅行すらままならないという考えられない事態になってしまいました。

そんな時、がっかりしている父親を横目に息子が始めたのが近場旅行の企画。電車好きの彼は、本の時刻表とインターネットを駆使し、自宅の最寄り駅を何時発の地下鉄で出発すれば何時に東京駅に着いて、そうすれば何時発の特急に乗れて、ここで特急を下りれば人気のローカル鉄道に乗り継げて、その沿線ではお父さんが好きそうなクラフトビールが飲めて、とものの見事に旅程を作って行きます。この町はこのホテルが予約サイトの口コミがいいよ、でもエクスペディアには掲載されていないよ、という辛辣なコメントも。

今どきの10歳児は何も教えていないのにここまでできるんだな、と改めてインターネットの力に驚愕。同時に、その10歳児の全ての検索が、とある特定のサイトから始まっている事実に対してビジネス的に驚嘆。
でもなんだかんだ言って、彼が作成した旅程をもとに二つの鉄道旅行を催行し、海外旅行とはまた違ったとても楽しい思い出を作ることができました。

こんな状況だから何もできない、ではなく、こんな状況だから何ができるか。
 

著者:荒井悟(エクスペディアホールディングス株式会社)

掲載日:2020年12月09日