Voice SNSでの評判は
SNSを見ていると、多くの観光地・レストラン等のお勧め動画にたどり着く。

関心あるショート動画がどんどん展開され、店やメニュー、個性的で美しい店主など登場し、この世に唯一とも思わせるその笑顔に是非とも一度足を運んでみたいと思わせるどれも関心を引く動画ばかりだ。

私はよく、妻と日帰りでこうしたSNS動画をきっかけに興味をもった観光地やショップに出かけるのだが、つい先日は港の朝市に足を運んでみた。
活気ある市場。お目当ての海産物。人情味あふれる接客。SNSで事前に仕入れた情報に期待し、休日の早朝車を走らせ、お勧めされた「混雑するであろう時間」の少し前に到着したのだが。。イメージしたのと違う、、天気もよく観光客もいるにはいるが、市場には活気がない。。お目当ての海産物店、スイーツ、
海産物のあら汁、いずれも期待したボリュームや見た目がどうも違うし、何より登場人物の笑顔が違う。。

この道すがら次にランチは、美しい店主が切り盛りするという評判の小さな食堂に足を運んでみた。
SNSの情報を参考に行列も覚悟しオープンの少し前に到着したのだが、幸運にもオープン前だがすぐ入店できた。
地元のお父さんたちで既に半分程度の席は埋まっており、また私のようSNSを見て遠方から来たであろう客も何人かいたが、、うーん、薄暗く活気がない。。

最高と評判の炒飯・ラーメン・カレーに煮込み、ここぞとばかりにすべて注文しいずれもおいしいのだが。。私にとっては普通。。
期待した美しい店主も笑顔を見せてくれたのだが少々疲れた感じ。。

「でもこれって当然だよね」 と帰りの車中で妻と話した。
SNSにあげるための全力の笑顔と接客。最高に活気ある場面を音楽にあわせて演出し、最高においしそうな状態のお料理。
いずれも時間をかけて最高の瞬間を演出し切り取ったものであって、勝手に期待を膨らませてしまっていた。。

その足で更に、こちらもSNSで評判のドーナツ店へも寄ってみた。到着時にはすでに店の外まで行列が、、並ぶこと30分ようやく店内に。
狭い店内はカントリー風ミュージックがかかり、ようやく店内に入れたお客さんの期待で活気もあり大混雑!揚げあがったドーナツが頻繁に
奥のキッチンから運ばれてくる。
しかし、ひたすらに無表情で客を捌く若い男性レジスタッフ。キッチンと売り場を何度も往復するスタッフに笑顔はなく。。毎日これだとホントにしんどそうに見えた。

私のよく知る方でSNSを上手く活用し行列のスイーツ店になっている方がいる。
何度かお店の業態を替えご苦労されていたが、現在は休日には遠方から来たであろうお客さんが並ぶスイーツ店だ。
お話を伺う限り、下積みもなく繁盛店になっていることに驚くばかりだが、何よりSNSのパワーに驚く。
実際私も、自ら情報を取りにいかずともこのスイーツ店のお勧め動画を目にする機会があった。
手慣れた感じでスイーツを盛りつけていく様子、1階部分を上手くフォーカスした「行ってみたいと思わせる」おしゃれな店構え、まさにSNSを上手く活用すれば味を除いては効果的なイメージ訴求が叶うわけかと感心した。

一方では最近、海外発SNSでの移民問題に触れた内容を見ることが増えた。観光地でも汚く、怖いといった部分を切り取ったような動画である。
SNSのイメージで、私のように期待して足を運ぶ人もいれば、逆に足を遠ざける人もいるだろう。

フェイクニュースなど溢れるSNSの世界、当然のことながら、これを元にしてもその行動の責任は自分にあり、正解は自分が決めるわけなので、必要以上に期待したり、恐れたりせず、上手く付き合っていきたいと思う身近な出来事であった。


著者:吉岡 謙 (AIG損害保険株式会社)

掲載日:2024年10月30日