Voice 焼売に思う
  先日、わけあって昼に生ビールを飲みながら焼売をいただき、少し前のCMを思い出しました。そのCMは焼売をおかずにして
白いご飯をたべているもので、『白飯(しろめし)がすすむシュウマイを食ったことがあるか』というナレーションがながれ
小栗旬が焼売と白いご飯をおいしそうに食べているものです。
これを見た中国人ははたして理解できたのだろうか?と。
まだ 日中間の交流が始まったばかりの頃の事です。訪日団として日本に来た中国人に崎陽軒の焼売弁当をだしたら、
本当に驚かれたという話をききました。日本人としては喜んでもらおうと一生懸命考えて焼売弁当をだしたと思いますが、
中国人にとってはいわばご飯をおかずにしてご飯を食べるようなものだったのではないでしょうか?

南の地方では焼売,北の地方では焼麦といわれますが、いずれにせよ点心のひとつです。点心は禅の言葉『空心(すきばらに)に
小食を点ずる』から来たという説があるように、食事と食事の間に食べる軽食やおやつのようなものです。私たちがなじみの
杏仁豆腐やマンゴープリン、餃子にワンタン、小籠包などすべて点心です。
日本にはお茶の時間というのがないため、こういったものがデザートやおかずになって日本人の暮らしの中に入ってきたのでしょう。

崎陽軒の焼売は創意工夫をし貝柱をいれることで、さめてもおいしくなったとききます。日本に住む華僑の方や日本人の知恵と
工夫で日本人にあうようにになった中国ルーツの料理はたくさんあります。その代表がラーメンでしょう。また これからも
中国料理を両親にして日本で生まれてくる料理があると思うと楽しみです。




 

著者:戸井川 裕美子(株式会社ピコ)

掲載日:2024年05月29日