Voice 回復するインバウンド需要
トラベル懇話会事務局より初めてのVOICE原稿掲載の依頼を頂きました。
最近のインバウンド需要に関してつぶやきたいと思います。

2019年以前、ニュースで【爆買い】という言葉を多く耳にしました。日本への観光客
は中国人をはじめ世界中から来日するようになり、日本でブランド物や化粧品などを買う外国人観光客が多くいました。しかし2020年の新型コロナウイルスの拡大による入国制限に伴い旅行需要は減少しました。しかし2022年秋より水際対策の大幅な緩和が発表されたことと最近の円安傾向もあり急激なインバウンドの回復が始まりました。

最近では単なる有名観光地の訪問や爆買いではなく体験や日本の地方都市を訪れる外国人も増えているようです。それに伴い大都市圏だけでなく地方都市にもインバウンド需要を取り込むチャンスが増えて来たのではないでしょうか?

しかしながらその回復の速さが急激すぎるのかまだまだ問題点多いと考えられます。
ひとつは言葉の壁です。日本人スタッフと訪日外国人と言葉が通じず、意思疎通が上手く出来ない事です。その為には翻訳サービスの徹底、外国語表示やWEBの外国語対応や外国語対応が出来るスタッフの教育などが必要となります。
またクレジットカード決済が出来る店舗をもっと増やす事、特に地方の小売店舗。レストランでも英語メニューを充実させる事、宗教上の理由で食べるものに制限がある方が外国人は多いので配慮する事など。

我々がインバウンドビジネスに取り組むメリットは円安などによるアウトバウンドの売上の減少をカバー出来る事。日本の人口は現在増えておらずこれからも減る傾向にあると考えられます。そうなるとアウトバウンドビジネスは限界を迎える。一方で観光需要の高い日本への旅行はまだまだ伸びる可能性があり、インバウンドをターゲットにしたホテル、施設さんのほうが利益が出やすくなるのではないでしょうか。しかし一方問題点として海外のお客様が来日する時期が偏っている事です。日本の3-4月の桜の時期と11月の紅葉の時期に集中しております。また地域も東京、京都、大阪が中心となっております。まだまだ日本には素晴らしい街がたくさんあります。最近人気の飛騨高山や青森もそのひとつです。もっと日本の地方都市の魅力もっと発信出来れば地域活性化が期待出来ます。

インバウンドビジネスをする上で次の点を考えていきたいと思います。
① 多言語に対応出来る事。自社のホームページを始め案内、メニューなどを英語、中国語、韓国語、フランス語などの対応。
② どこの国の外国人をターゲットにするのか?現在日本には中国、台湾、韓国、タイ、米国、ヨーロッパなどあらゆる国からのお客様が来日されますが国民性やニーズも異なるため、ある程度の絞り込みが必要ではないでしょうか。
③ SNSの活用  インターネット時代の今来日するほとんどの方がSNSから情報を得ています。特にインスタやフェイスブックなどは自分の店や会社を認知してもらうのに有効だと思います。

コロナ終息後インバウンドは更に成長市場となっております。政府が2016年に掲げた【明日の日本を支える観光ビジョン】で2030年には訪日外国人6,000万人を掲げておりますが現在の中国からの渡航者を見ると難しいかとも思います。
旅行の形態や目的が様変わりする中、多くの方が来日されるようになりました。我々インバウンド効果を期待する会社は多様化する外国人をどれだけ取り込めるかが鍵となると思います。またどの業界でも深刻な人手不足となっておりそれをどう解決するかも重要な課題だと思います。今後も日々変わる趣味趣向に対応出来るようにアンテナを張って精進してまいりたいと考えております。

著者:篠原 幸勇(株式会社エアサーブ)

掲載日:2024年02月20日