Voice これからの日本人の海外旅行について
 ようやくこの5月にコロナが2類から5類になり、海外旅行の規制も全ての国に関して殆ど無くなりました。実際この5月にカナダへ行ってきましたが、空港も含め全ての場所でコロナ前の日常が戻って来ました。

 只、以前と違う事があります。
 まずは、日本国以外の物価高騰です。カナダを例に挙げますと、今までツアーでアレンジしていた昼食が一人30カナダドルから約倍の60カナダドル、夕食は一人55カナダドルから約100ドルと殆ど倍になっています。食事以外にもホテル、バス、ガイド、アトラクションも全て上がっています。それに輪をかけて円安と、燃油高です。
 ツアー代金はコロナ前の約倍になっています。この一因になっているのが、今問題になっている賃金値上げですが、これは是非日本でもやるべきだと思います。カナダを例に挙げますと、最低の時給が15カナダドル、今の換算レートですと約1,600円になります。これが最低賃金です、高校生の子がバイトして貰える金額です、当然それに合わせて色々なものが上がって行きますが、賃金が上がり給料が増えますので、バランスは取れて行くと思います。
 先進国を見渡しても日本ほど何十年も賃金が上がらない国は有りません、私達業界でも良い人材を取って行くためにも、多くの人に海外に行って貰う為にも、賃金アップはして行くべきだと思います。

 もう一つ皆さんと共有したい大きな問題が有ります、それは今現在の日本人マーケットに関しての現地サプライヤーの対応です。一昔前までは、日本のマーケットは海外で優遇されていました。デポに付いてもそれほど言われませんでしたし、ホテルの消化率もそれほどうるさくは言われませんでした。この風潮が変わって来たのはこの10年位でしょうか、日本以外のアジアの国の方々、特に中国の方や韓国の方などが多く海外を訪れる様になり、そちらに対してのスペース供給も必要になり、少しずつ日本の分が減って来ていました。
 それにこのコロナによって、大きく今までのビジネス形態が変わりました。日本人は今や特別では有りません、逆に支払いは遅い、ブロックの消化率も悪い、他のマーケットに比べても良いところは全く有りません、このままでは日本のマーケットに対してスペースを出そうという奇特な方はいなくなると思います、只、今ならまだ間に合うと思います。
 今までの商習慣は捨てて、グローバルスタンダードに合わせるべきだと思います。日本の旅行業法の問題も有ると思います、この様な事を続けて行けば、海外旅行の私達のビジネスは無くなると思います。それでも良いのか、違う方向に行くのか時間は無いですが皆様と一緒に考えていけたらと思います。

著者:荒金孝光(メープルファンエンタープライズ株式会社)

掲載日:2023年08月02日