Voice 戻ってきた日常
昨年度より回復基調が続く国内旅行はこのGWに関西まで車で帰省した際に実体験として実感いたしました。通常7時間ほどで到着する行程が激しい交通渋滞でコロナ禍前にもなかった16時間もかかる結果となり、各サービスエリアに車両が入れきれず1時間近く駐車まで時間がかかり、施設はどこも満員で心身ともに疲労困憊する体験となりました。
一方で心のどこかで人がこれほど多く移動している光景は、この業界に関わる人間として不思議な安心感と心地よさを感じコロナ禍で誰もいない空港や観光地を体験したからこその感覚なのだろうと一人納得しておりました。

また入国制限の緩和と5類への移行のタイミングと重なり社用でホノルルを訪問して参りました。海外へは昨年4月、8月以来の渡航となりましたが空港到着後検査の為数時間待機した4月やMySOSアプリで入国が簡素化された一方で帰国前PCR検査結果の登録など手間が残った8月と比べると何も制限のない今回の帰国時の流れはコロナ前と変わらないスムーズさでありました。

ホノルルの状況は皆様ご承知の通りだと思いますがほぼ全ての人がマスクもつけることもなく完全にコロナ前の観光地の風景に戻っており、羽田空港、成田空港の到着ロビーでのインバウンド旅客の多さと合わせてグローバルでの観光の人流は戻っていることを再認識いたしました。

以上のように日常が戻ってきたと感じる一方で課題も改めて認識いたしました。それは皆様もご認識されている通り日本人のアウトバンドについてはまだまだ戻ったとは言えないレベルであることです。
カラカウア通りに面したDFSは引き続きクローズしており日本人観光客がもどらない象徴のような状態で(8月には再開との情報ですが免税販売ではなくメインランドからの観光客をダーゲットにしたショッピングエリアとして再開する方向)成田空港の出発前のショッピングエリアはコロナ禍の完全クローズ状態から回復はしているものの引き続き休業もしくは完全に撤退された店舗によって虫食い状態はまだまだ回復とは言えない状況が継続していました。

急激な物価高、円安、ウクライナ危機など海外旅行にとってはコロナが終わっても逆風が続いている状況ですが、心の底から日常に戻ったと言える日はやはり海外旅行についてもコロナ前の状況に回復したその日であると思いますので積極的な情報提供やプロモーションを強化し需要拡大に努めて参りたいと思います。

著者:前田 欣伸(ANA X株式会社)

掲載日:2023年05月26日