Voice 3年ぶりの海外渡航をして再認識したこと。
マレーシアが条件付きで観光客(ビザ無し)の入国ができるようになったので、現地に居る家族に会うために、3年ぶりとなる海外旅行に行ってきた。
通常の出張や旅行とは違い、家族に会えるというモチベーションがあったので、煩雑な手続きを苦と思わずやっていたが、ふと「これ、、、一般のお客様が簡単に理解してできる手続きではないなぁ・・」と感じた。
出発する前にマレーシア政府が開発したコロナ対策アプリ「MySejahtera」をインストール。全て英語orマレー語のみの説明・手続きで、そのアプリにパスポート情報などの個人情報、ワクチンの接種証明書、到着時の滞在情報、日本出発前の健康状態などを事前に申請・アップロード。
そして、日本出発48時間以内のスワブ式のPCR検査、その陰性証明書をまたアプリにアップロード。
アップロードしたからと言って、全て完了した訳ではなく、マレーシア保健省が承認してくれないと意味がない。因みに、私はPCR検査証明書以外の事前情報登録をアップロードしてから承認されるまで1週間ほど掛かった。
そして、マレーシア到着後24時間以内に抗原検査をし、その陰性証明書をまたアップロード。
この何重もの検査や申請をクリアーして、初めてマレーシアに隔離なしで入国ができ、お店・レストラン・公共交通機関・ホテルなどが、アプリを通じて利用できるというシステム。
日本帰国時は、「MySOS」というアプリをインストールし、そこにも個人情報と渡航情報を入力、日本入国72時間前にPCR検査、そして日本政府が指定した陰性証明書を発行してもらい、それをアプリにアップロード。
これは、日本到着時の検査をスピード化するための施策だが、実際に到着して入国までに3時間を要した。
かなり掻いつまんで記してみたが、それでもこれだけの手続きと認証をしてもらわないと、出入国ができないという現実に辟易とした。これでは、誰も気軽に海外旅行などは行けないし、行こうとも思わない。
色々なメディアで、「感染症危険度レベルの見直し」、「水際対策の緩和」などの情報が、ここ数日、かなりの頻度で発信されているが、実際にどこまで緩和されるのかが海外旅行復活の肝になると再認識した。
自ら渡航してみるまでは、「もう少しすれば海外の往来は増えてくるだろうなぁ~」と安易に想像していたが、それはコロナの感染状況が減少傾向にあるという根拠だけであって、本当の海外渡航の復活は、日本政府の思い切った水際対策の緩和がなければ成しえないという事である。
少数の声で日本の行政を動かす事は難しいが、業界全体で徒党を組んで声を上げれば動かせるかもしれない。いや、動くまで規制緩和の活動を続けなくてはいけないのだ。それが一番の解決策なのだから。
お客様が煩雑な手続きをしないで海外旅行に行ける日を作るのは、私達自身の活動に掛かっているのだと思う。
よって、微力ながら、規制緩和の活動にはどんな形でもいいから協力していこうと決心したのでした。

注)上述は4月1日以降からの出入国の条件であり、いま現在、さらに緩和されている部分もあります。

最後に、弊社の事業に関してひと言。
皆さんもご承知の通り、弊社は創業50年を超える旧ソ連地域(ロシア・CIS地域)の専門旅行会社です。
コロナ過が落ち着いてきて、多くの国が往来を緩和し始めた頃に、ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。
弊社にとって、過去に経験のないこの事態に、どのように業務を継続していくかを暗中模索している状態です。
現地ロシアのランドオペレーター、航空会社、日本語ガイドなど、弊社と取引している企業の殆どが休業、廃業に追い込まれているのが実情で、ただただ平和な日常が早く戻ることを願っているしだいです。
このよう状況下において、トラベル懇話会の会員の方々からも、色々とご心配と励ましをいただいている事に、この場を借りて感謝申し上げます。
有難うございます。

著者:早坂 賢一(株式会社プロコ・エアサービス)

掲載日:2022年05月25日