Voice コロナ禍における旅行業界を巡る環境の変化への旅行業者の対応への私見
新型コロナ発生は2019年12月、中国の武漢から発生し今日まで世界的流行、パンデミックをもたらしています。結果、現在に至るまで、私たち旅行業界にも大きな打撃を与え、いまだその先の光が見えてまいりません。誰もが知るように、旅行業の主要業務は、団体、個人客より、1)企画旅行(募集・受注型)2)手配旅行3)渡航手続4)旅行相談を報酬を得て行う事業と旅行業法第2条に記されています。またその事業の中では1)取引の公正の維持2)旅行の安全の確保3)旅行者の利便の増進を図ることを目的として旅行業法第1条に記され、そのためには旅行業登録が義務付けられました。
過去に経験のないコロナ感染禍における未曽有な環境下の中で私達は旅行業界を巡る、市場の変化を冷静、厳粛に受け止め、現状に即した対応へと、大きく変わっていいかなければならないと思っています。この市場の変化はコロナ感染以前にすでにその兆候が表れていました。旧態然たる、団体旅行から、2011年東北大震災を境に旅行形態が今までの地域、職場団体旅行から家族旅行、一人旅に大きく市場が変化いたしました。すなわち団体旅行から個人旅行への大きな変化、2019年度には国内旅行個人83.9%団体10.3%海外旅行個人78%団体15.1%,と個人旅行中心の市場に変化しております。この傾向はコロナ感染拡大によりさらに拍車をかけております。この状況下で私たち旅行業者はどのように生き残っていくのか、真剣に取り組んでいかなければならないと思われます。今までの常識は通用しなくなってまいりました。その最大の影響はIT技術の驚異的な革新があげられます。旅行業法の目的の中で旅行者への利便の増進、今までように旅行者が旅行業者に依存する内容が大きく変わってまいりました。手配旅行はまさに旅行業者中抜きの取引への変化。(旅行業界における手配旅行市場での旅行業者取扱高の激減)今まさに旅行業界はOTA業者の一人勝といっても過言ではありません。結果、従来のカウンター販売からインターネット販売への移行、またそれに伴う、カウンター店舗の廃止、また、バウチャー、QRコード提示等々、チケット不要、B to BからB to C市場への転換による変化。現在では旅行業者不要論も推測されるような実態が生じております。旅行業者への代理店手数料引き下げの現状。運賃体系の改正。グループ運賃不要論等、今までの利便の増進の意義も大きく変わってきております。その中で各社が旅行者に対し独自の利便の増進は何であるかを考え、それに即した対応は緊急の課題であると思われます。今後は旅行の2極分化が急速に進んでいくと推測されます。旅行業者側から見た、マクロ市場、とミクロ市場、顧客の選別化それに伴い旅行者側から見た旅行業者の選別化、それらを踏まえ自社の戦略、戦術の見直し再構築をすることは今が絶好の機会であると考えております。従来の手法は通用するのでしょうか。また、当分コロナ感染状況が続くことを想定し安全の確保(観光庁、旅行における感染症対策、JATA・ANTA旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン)遵守を今一度確認し、実施していかなければなりません。
このような状況下の中でも国民の旅行意識は依然として高く、来るべくGoToトラベル再開に備え、私達、旅行業者自らが、逆境の時代に立ち向かい、生き残るすべを構築しておくことが今、求められているのではないでしょうか。

著者:次田 博(トラベルアンドコンダクターカレッジ、インターナショナルツアーアシスタンス)

掲載日:2022年03月16日